時代を超えて愛される逸品 京の名匠 藤井寛 | 振袖ハクビ

時代を超えて
 愛される逸品

京の名匠 藤井 寛

藤井寛とは– Hiroshi Fujii profile –

「藤井寛(ふじいひろし)」は、伝統的な手描き友禅の第一人者です。
彼の手掛けた着物は、美智子上皇后陛下、皇后陛下、紀⼦様、眞⼦様など多くの皇室方に着用されてきました。

経歴・受賞歴

1935
下絵師「藤井桃陰」の長男として生まれ、幼少期より着物の伝統美に触れて育つ。
1956
「藤井画房」設立。当初はお誂えの受注制作のみ。寛氏が大学在籍時代に着物制作を手がける。
1972
「富宏染工株式会社」設立、同時に工房を設立。
2002
伝統的工芸品功労者褒章
2007
経済産業省製造産業局長賞
2020
娘の藤井友子氏が「富宏染工株式会社」代表取締役に就任、寛氏は会長へ。

藤井寛は父である下絵師・藤井桃陰氏のもと、幼少の頃より着物の伝統美に触れて育ちました。
熟練の技術を必要とする挿し友禅を極め、独自の美しさを誇る「藤井寛のきもの」を確立しています。

皇族の振袖着用歴

  • 紀宮様御振袖(雲取典麗彩重ね)制作従事
  • 皇太子妃雅子様(現皇后陛下)御振袖(王朝典雅扇)制作従事
  • 高円宮承子様御振袖(松皮取慶長宝尽)
  • 高円宮絢子様御振袖(琳派流水取四季草花)
  • 眞子内親王御振袖(慶祥雲重)

とくに上質で品格の高い色柄の振袖は、多くの皇族方に愛されています。

代表作品

  • 皇太后陛下御訪問着(瑞雲重ね)制作従事
  • 秋篠宮妃殿下御訪問着(山取松藤慶長文様)制作従事
  • 日蓮宗法音寺京都別院・法輪寺本堂の格天井の制作に従事

藤井寛は着物の制作のみならず、日蓮宗法音寺京都別院・法輪寺本堂の格天井の制作にも従事するなど、青年期より培ってきた高い技術を評価されています。

藤井寛の振袖の魅力と特徴

藤井寛の振袖は、繊細なグラデーションが最大の特徴であり魅力です。
 
伝統的な染色技法である「京手描友禅」は、白生地に糊を使って模様を描いて染めていきます。隣り合う色が混ざらず、絵画のような繊細な柄を生み出せるのが特徴の染色技法です。この技法は世界でも類を見ない稀少な染色技法ですが、藤井寛の工房ではさらに独自の技法で作品を制作しています。

通常の挿し友禅では筆を使用しますが、藤井寛の工房では着物に奥行きを持たせるために刷毛を用いて細部にまで染色を施します。刷⽑で染めることで⽷に染料がしみ込み、生地の質感と色の出方がよりよくなり、美しい光沢と鮮やかな発色の振袖が完成します。

一般的な友禅では、柄を染めた後に柄を糊で伏せて地の部分を引き染めするのが基本です。
 
しかし藤井寛の工房では「よけ染め」という技法で地の部分も全て刷⽑で染めあげるのも特徴です。「よけ染め」は、彩色された柄以外の地色部分を大小の刷毛で染めることで、柄が浮かび上がるよう「よけながら」「染める」という独自の技法です。⼀つ⼀つ作った色をよけ染めにより組み合わせることで、微妙なグラデーションが可能になります。

藤井寛の振袖は、伝統的かつ独創的な独自の染色技術により染められていることがおわかりいただけたでしょうか。研鑽を重ねた独自の染色技法により、繊細なグラデーションカラーと優雅な光沢をもつ他に例を見ない美しい振袖が完成するのです。

藤井寛スペシャルインタビュー

仕事を始めたきっかけ

京の名匠 藤井寛 先生
  • 聞き手)

    本日はよろしくお願いします。

  • 藤井寛先生

    よろしくお願いします。(以下藤井先生)

  • 聞き手)

    まずはじめに、藤井先生がこの仕事を始められたきっかけをお聞かせください。

  • 藤井先生)

    私、父親も下絵職人なんです。中学くらいから手伝って、大学時代にはお誂えという仕事でいろんな屋敷を回ってたんですよ。そこで特別注文を染めるために御要望を伺って、色や柄を作り始めたのがきっかけですね。

  • 聞き手)

    では、大学時代もお手伝いを続けたことで、跡を継ごうと思われたんですか?

  • 藤井先生)

    いや大学を出たときは、会社に就職しようと思っていたんです。でも、大学でイタリアのギルド制を中心に世界の様々な職人の、立場や制度というものを、研究したんです。そうしたら、日本の職人は日本の中であまりにも下層に見られているんです。手描き友禅を作る職人の技術は相当高いのに、社会的、世間的な地位が低いなんてあんまりだと感じたんです。それでこの道に入って、職人の地位を上げたいと強く感じたんですよ。


 

皇室への振袖献上

  • 聞き手)

    藤井先生の制作された振袖を、皇室の方々がお召しになっているのをよく目にしますが、そこに至るまでのエピソードをお聞かせください。

  • 藤井先生)

    まだ私の若い頃は、なかなか着物がない時代でして。とりあえず新しく白と黒だけで作る着物を考えたら、ヒットしましてね。
    附下訪問着からスタートして、それからだんだんと様々な色がついた着物を出していきました。洋柄とか外国の風景とか、日本の従来の和服で使う御装束とか、全部を手がけなければと思っていました。
    その頃、着物がだんだん復活していったんですよ。
    いろいろ振袖を手掛けるようになったんですが、私は「雲取り」という柄に興味がありましてね。「雲取り」は本当は背景にちょっと入るような柄なんですが、いろんな雲を研究して、「雲取り」だけで訪問着や附下訪問着を作ってみたんです。
    その振袖を、偶然昔の紀宮様が成人式の時に目に留めてくださったんです。紀宮様のために、地味だった色を柔らかい色に変えて、金箔を入れて作ったんですよ。

  • 聞き手)

    それが皇室の方が「雲取り」の着物をお召しになったきっかけとなったのですか?

  • 藤井先生)

    いや、それまでも上皇后美智子様がお若いときに「雲取り」だけの訪問着をお召しになってる写真もありましたね。
    上皇明仁様も訪問着でいろんな色で「雲取り」だけの着物もお召しいただいてますね。まだ、徳仁天皇陛下が皇太子様の頃、「雲取り」だけの着物を着ていただいている写真もあります。でもその頃はそんなに話題にはならず、内輪の中での話だったんです。
    ところが紀宮様の成人式の時に、雲の柄の着物を召された家族写真が出てから「皇室の着物」という認識になって流行っていったんです。
    それまではナンボしててもダメだったんですがね・・・。


 

振袖についての想い

  • 聞き手)

    白黒から、多彩なものまで、様々な柄を制作されている藤井先生ですが、新しいものを作る際に原動力になっている事はありますか?

  • 藤井先生)

    職人に仕事を増やしていくという目的が原動力ね。
    イタリアのギルド制みたいに、職人をマイスターという形にしたいという気持ちが強いです。
    今でこそ職人の地位が上がってきましたが、私が若い頃の職人の世界は、江戸時代の士農工商の下の方ですから。

  • 聞き手)

    現在は地位が上がったとのことですが、反対に職人の方が減ってきていることについては、実際どうなんでしょうか?

  • 藤井先生)

    今、若い子が入ってこないかというと、そんなことは無いです。染色学校とか、染色を学びたい若い職人が結構増えてきてますよ。
    しかし、染工場や染工房としての受け皿が少ない。職人を守って若い人を育てる為には、振袖や他の新しい柄とか今までの伝統も考えながら、地位を守りながら継続して仕事を確保しなければいけません。
    意欲を持って入ってきてくれる子を、きもの産業全体でもっと守っていきたいと考えてます。若い人が現場へ入って来なくなったら終わりやしね。


 

振袖ハクビオリジナルカラーについて

  • 聞き手)

    藤井先生には「振袖ハクビ」へ、オリジナルカラーを制作して頂いていますが、その時に藤井先生が意識していることはありますか?

  • 藤井先生)

    一つの柄に一色ではなく、三つくらい色を提案することですね。やっぱり着物というものは着る人の姿、形、顔の形によって合う・合わんがあるんです。
    様々な人の姿を想像しながら、三つくらいの色を出すんです。柄は同じでも、配色と地色によって雰囲気が変わるのでね。

振袖ハクビオリジナルカラーをはじめとした藤井寛作品はこちら

 

藤井先生からのメッセージ

  • 聞き手)

    今、「振袖ハクビ」には、成人式のお振袖選びに、たくさんのお客様にお越しいただいております。
    そのような皆様に、着物を制作されている藤井先生からメッセージをいただけますか?

  • 藤井先生)

    感謝の気持ちでいっぱいですね。振袖を筆頭に、訪問着や附下訪問着など、私の着物を注文していただく方々には、「職人を守っていく」ことを長く続けて来た私にとっては、本当にありがたいです。
    ちょっとでも、私の振袖で着姿が綺麗で美しく見えるようにと願っています。

  • 聞き手)

    たくさんの方に藤井先生の作品を選んでいただいているのですが、やっぱり皆さん喜んでお召しになっていらっしゃいますよ。藤井先生がそうしてイメージを膨らませながら制作していただいている振袖、それを着て喜んでいただけるということが、私たちも嬉しいです。

  • 藤井先生)

    振袖っちゅうもんはやっぱりね、着物・・・色々和装ありますよね。振袖いうもんが、色々変化させていくのには、一番ええ題材になります。「振袖」というものを使って、いろんな事業や技術、配色を変化させていくのが一番やりがいがありますね。
    まあ訪問着とか附下訪問着もそうですけども、やっぱり成人式は初めて着物に出会う機会になります。その人に気に入ってもらえるよう、そして成人式の時にそれを着ることによって、気持ちが新たになるようにと考えてい ます。

  • 聞き手)

    成人式は着物を好きになって貰う大きなきっかけですよね。

  • 藤井先生)

    着ることによって飛躍する気持ちを持って頂けたら嬉しいですね。それを機会に和装ファンになってもらうためにも、振袖という存在はすごく大事ですよ。
    新しい和装ファンを増やさんと、職人も守れへんしね。今後ともよろしくお願いします。


 

【藤井寛作品】おすすめの振袖ご紹介

振袖ハクビでは、藤井寛の古典柄振袖を多数取りそろえております。
藤井寛の振袖は、時代を越えて愛される伝統美と創造美を感じられるお品ばかりです。
なかでも振袖ハクビによるオリジナルカラーの振袖は、ハクビでしかご購入いただけない特別な逸品です。おすすめの藤井寛振袖を3種類ご紹介いたします。

御苑の宴

藤井寛の米寿記念作品・振袖ハクビオリジナルカラーの振袖「御苑の宴」です。
四季を彩る美しい花々に、雅な王朝文化を象徴する御所車、吉祥文様の松が描かれた優雅な振袖です。
藤井寛の着物の代表的なモチーフである「瑞雲(ずいうん)」も振袖の品格を高めていま す。
藤井寛の着物特有の柔らかく上品な「ロイヤルカラー」が際立つ振袖です。

王朝花宴

藤井寛の米寿記念作品・振袖ハクビオリジナルカラーの振袖「王朝花宴」です。
成人式の振袖の王道・赤の地色が独自の技法で美しく発色した振袖です。余白を活かしたデザインゆえに、藤井寛の着物特有の紗綾型に花をあしらった地模様がきらめきます。
雲の中に花などのさまざまな柄が描かれた「雲取り(くもどり)」も、藤井寛の着物を代表するモチーフです。
柄と余白のバランスがよく、伝統的な古典柄を落ち着いた雰囲気で装いたい方におすすめの振袖となっています。

雲取松御殿御所解

藤井寛の米寿記念作品・振袖ハクビオリジナルカラーの振袖「雲取松御殿御所解」です。
白地に青の「雲取り」が目を引く、清楚な印象の振袖です。全体を優しい色合いでまとめることで、藤井寛の着物特有の上品さと優雅さが際立ちます。
柔らかい印象で品よく振袖を着こなしたい方におすすめしたい振袖です。

藤井寛の振袖をお探しなら

今回は京の名匠・藤井寛の振袖の特徴や魅力についてご紹介しました。
藤井寛の振袖は、他に類を見ない独自の技法による美しいグラデーションと生地の光沢が一番の魅力です。「雲取り」を代表する柄行きも藤井寛独自のもので、時代を越えて愛される唯一無二の振袖を制作しています。
成人式をはじめ、ご結婚式や結納、パーティーなど、どんなに格式の高い場所でも人を惹きつける品格と美しさのある藤井寛の振袖。皇族にも愛される最高峰の振袖は、代々受け継ぎ大切にお召しいただくことができます。
振袖ハクビでは、藤井寛の特選振袖を多数取り扱っております。振袖ハクビオリジナル配色の藤井寛の振袖もご用意。どこに行っても、誰からも愛される確かな品質の振袖をお探しの方は、ぜひ振袖ハクビまでご相談ください。

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